【瀬戸内国際芸術祭2022】男木島アート 川島猛とドリームフレンズの「Dancing in the Seto(瀬戸で舞う)」を訪ねて

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瀬戸内海の島々を舞台に3年に1度開催される瀬戸内国際芸術祭。
島で育まれた歴史、文化、暮らしの個性を活かし、アーティストと島の人々が交流を深めながら作品を創り上げていることが特徴です。国内・海外から多くの人が訪れ、作品とともに島の人々との交流や食の体験など特別な時間を楽しんでいます。


「川島猛とドリームフレンズ」の作品を目指して、高松市の会場の一つ、男木島に向かいます。

川島氏の帰郷のきっかけ、瀬戸内国際芸術祭


男木島は斜面に折り重なるような集落が特徴で、石垣の坂道や瓦屋根の民家が並ぶ懐かしい佇まいが魅力です。
川島猛(かわしまたけし)氏はこの密集した集落に島特有の暮らしの営みや趣を感じ、瀬戸内国際芸術祭の会場として選びました。

男木島(おぎじま)


「川島猛とドリームフレンズ」の作品会場は、男木港から歩いて5分ほどの斜面の中腹にある古民家。門をくぐると大きな桜の木が迎えてくれました。


川島氏は1930年、香川県高松市生まれの現代アーティスト。香川県立高松工業学校(現香川県立高松工芸高等学校)を卒業後、東京の武蔵野美術大学・油絵科、代々木絵画研究所を経て、1963年に渡米。2016年に香川に帰郷するまでの53年間、ニューヨークで制作活動を続けました。
作品はニューヨーク近代美術館(MoMA)の永久収蔵品(MoMA Collection)に選ばれるなど高い評価を得ています。


第1回瀬戸内国際芸術祭のときの作品「想い出玉」

川島氏の帰郷は、2010年の第1回瀬戸内国際芸術祭に参加したことがきっかけで、瀬戸内の海など生まれ育ったふるさとの美しさに改めて魅せられたことです。


「僕だけでなく、島の人も一緒にみんなで作品をつくりたい」という川島氏の思いから発足したのが、作品づくりをサポートするボランティア「ドリームフレンズ」。「みんなで制作していることが男木島の作品のよいところ」だと川島氏は言います。

心躍るように自由に作品を楽しんで


「川島猛とドリームフレンズ」の2022年の作品タイトルは「Dancing in the Seto」。
窓から差し込む柔らかな光の中、ブルーやグリーンのカラフルな色と形が目に飛び込んできます。


「Blue and White」シリーズ

「Dancing in the Seto」は、青い空と白い雲の下のマンハッタンの人々を描いた「Blue and White(ブルー・アンド・ホワイト)」シリーズの作品「DANCE(ダンス)」が元となっています。


ブルーは川島氏にとって「永遠のいろ」である特別な色。
例えば、コバルトブルーにほんの少しの白を加えた色合いは、鮮やかで、爽やかな風を感じさせます。


ブルーと白、グリーンと白といった2色の組み合わせとシンプルな線で、美しい形が生み出されています。




迷いなく線を描いているように見えますが、1本の線を描くまでには頭の中で何度も何度も形を模索するのだと川島氏は言います。ニューヨークではお風呂にもスケッチブックとペンを持って入り、思いついた形をすぐに描けるようにしていたそうです。


妻の順子さんが、以前、ある美術館で他の作家とともに川島氏の作品が展示されていたときのエピソードを教えてくれました。


作品がずらりと並ぶ中、川島氏の作品の前で子どもがピタッと立ち止まり「ママ、音楽が聴こえる」と言ったそうです。美術館の館長からそのことを聞いた川島氏は「絵を描いててよかった」と思いました。


川島氏の「描く」原動力は、作品を見に訪れた人が美しいと感動したり、驚いたり、来てよかった、元気になったと思ってくれること。
川島氏の思いが見る人々の心に届くからこそ、感動するのかもしれませんね。

「DANCE」は世界中の人々に通じる喜びや楽しみを表現しています。男木島で、日々の閉塞感から離れて、心躍らせ自由に作品を楽しんでみてはいかがでしょう。


街中に溶け込む川島アート

高松市内には、パブリックアートやコミッションアートして、川島氏の作品が点在しています。

高松市中央商店街・丸亀町壱番街ドーム広場


3つの商店街の交差点となるドーム広場の床面にある御影石を組み合わせたモザイクアートで「Peace(平和)」と名付けられています。
中心に瀬戸内海の豊かな自然を、その周囲には平和に暮らす人々の姿を表現しています。


街路に設置された木製ベンチも川島氏のデザイン。

高松市こども未来館


エントランスホールのレリーフ「Angel P’s Dreamland」。今にも動き出しそうな躍動感にあふれた作品で、訪れた子どもたちをワクワクさせてくれます。

高松市図書館


エントランスホールのレリーフ「Four Seasons of Seto(瀬戸讃歌フォーシーズン)」。
青、緑、黄色、赤、黒の上に重ねられた様々な形。瀬戸内海の風景を思い出しながら、何の形か想像してみて。

香川県立高松工芸高等学校


1998年に創立百周年を記念して制作されたモニュメント「永遠の飛行」。

道の駅 源平の里むれ 房前公園(ふさざきこうえん)


石彫アート「門-MUSE LOVE-」の緩やかなアーチ越しに瀬戸内海を眺めてみては。

香川大学創造工学部


正門を入り西側にあるモニュメント「和・話・輪・環」は、2000年の香川大学工学部(現創造工学部)開校の記念に設置されました。


INFORMATION

瀬戸内国際芸術祭2022 作品 No. og07「瀬戸で舞う」


会期 春:4月14日(木)~5月18日(水)
夏:8月5日(金)~9月4日(日)
秋:9月29日(木)~11月6日(日)
開館時間 9:30~16:30
休業日 会期中無休
料金 300円

▼瀬戸内国際芸術祭 公式サイト
https://setouchi-artfest.jp/artworks-artists/artworks/ogijima/382.html

2022.5.16 / 瀬戸内国際芸術祭2022 作品 No. og07「瀬戸で舞う」

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